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気管支喘息

一昔前までは何らかのアレルゲンを吸うと、気管支粘膜が収縮(けいれん)して呼吸がしにくくなるといった定義から、気管支を広げる気管支拡張剤が主体となっていましたが、最近の研究では上記病態の気管支粘膜における炎症性【好酸球】疾患と考えられています。そのため、ゆっくり、時間をかけて治療管理していくことが必要です。

問診

一年を通して、風邪でもなく、感染性の気管支炎でもなく、先天性肺疾患でもないのに、突然のこんこん・ヒュ−ヒュ−が3回以上ある、あるいは、はしゃいだり大笑いしただけでこんこんしたりする場合は、気管支の過敏性が亢進している証拠です。更にはしゃいだりしただけでしゃがみこんだり、会話が少なくなったら、喘息の可能性が大きいです。そのような状態になったら、かかりつけのアレルギ−専門医に相談してみましょう。特によくゼイゼイするような乳幼児は、早めに専門医にかかってください。

検査

血液中アレルゲン同定検査(RAST法)、プリック試験(皮膚にアレルゲンを滴下して針で引っかいて反応を観る検査)、肺機能検査、気道過敏性検査などがあります。特に血液中アレルゲン同定検査(RAST法など)は値段の高い検査ですが、非常に感度、特異性に優れていますので一度は受けてみましょう。

診断

家族歴で二親等以内にアレルギー疾患の方が居た場合。一年を通して、突然のこんこん・ヒュ−ヒュ−が3回以上ある(特に夜間、朝方)。

アレルゲン検査でハウスダスト、ダニなどの吸入性抗原が陽性。他の気管支、肺、心臓疾患を除外して総合的に喘息と診断します。

治療

昔の考えでは気管支拡張剤を主体とした治療が主体となりましたが、最近の研究では、上記病態に基づいて、気管支の炎症を抑えるお薬が長期的に使用することで、ぜんそくの重症化、進行をおさえます。

1990年頃より世界的に増加する喘息を撲滅することから、欧米諸国が気管支喘息ガイドラインを作成しました。わが国でも少し遅れて、厚生省や日本アレルギ−学会から気管支喘息ガイドラインが発表されました。一方、小児では1990年代後半にヨーロッパで小児気管支喘息のガイドラインの論文が出版されました。わが国では2000年に日本小児アレルギー学会より、小児気管支喘息のガイドラインが作成され、2005年にはより具体的に改定されています。

そのどれもが、気管支の炎症を根本的に抑制する薬(長期コントローラー)と発作時に使用する薬(レリーバー)とを併用してうまく使うことで治療の主体にしています。

具体的な対策

1 原因となるアレルゲンを除去する環境整備

掃除は毎日行うことが必要です。

畳1畳あたりに20秒間ぐらいかけて丁寧に掃除してください。

ダニが20匹いるとアレルギー体質を作ります。100匹では喘息発作が悪化していきます。同時にお部屋の換気も充分にしましょう。特に畳、じゅうたんはダニが好んで生息する場所です。高温多湿でダニが繁殖します。

寝具類を新たに出し入れする時期(夏、冬)は特に注意してださい。

簡単な寝具類やバスタオルなどは、大きな洗濯機があれば丸洗いするとダニがとれます(米国の研究)。

大きな寝具類は天気の良い日に両面干しして、その後掃除機で吸い取ってください。

近年の住宅状況は非常に気密性であるため、ダニや家のほこりだけではなく、カビ類が問題となっています。

カビが生えて仕方がないときは、カビ除去薬(喘息発作を誘発します)は使わないで除湿機を使うと良いでしょう。

2 喘息日誌

基本的に毎日の発作状態やその誘因源(天気、運動会、風邪など)が客観的に解り、その児の重症度判定(以下に述べます)ができます。それに伴いお薬の原料もできます。また、お母さん方がお子様の喘息状態に限らず、客観的に学校生活や心理面をサポ−トするのに大変役に立ちます。

ただ欠点としては、発作状態が落ち着くと日誌を書かなくなる場合もあります。ある程度お薬も減量でき、落ち着いた状態であれば、ポイントポイントで書いてくださればよいでしょう。

重症度によって治療法が決定できるようになりました。重症度判定(日誌、肺機能など)によって的確な治療法が望まれます。

間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型

3 薬物療法

気管支の炎症を根本的に抑制する薬(長期コントローラー)と発作時に使用する薬(レリーバー)とを併用してうまく使うことで、治療の主体にしています。

(日本を含めた世界的な方法)

長期コントローラー製剤

(1)吸入ステロイド(フルタイド、ベコタイド、パルミコート、アルデシンなど)

ステロイドと言うと身長が伸びない、骨の障害が起きる、体がむくむなどの心配をされる方が非常に多いのですが、これは全身的にステロイドを長期間大量に注射、内服した場合に限ると言ったほうが、誤解が解けると思います。最近の吸入ステロイドは大変副作用が少なくて、安全に作られています。直接、気管支に入ることにより、気管支レベルでの炎症を抑え、適性量では全くといっていいほど副作用はありません。

気管支の炎症をそのままに何十年も放置しておくと終末気管支(肺胞レベルまでの)破壊や変性をきたします。このような状態になると治癒不能どころか慢性呼吸不全に陥ってします。更に最近の研究では、安全量で長期間使っている患者さんは、吸入ステロイド剤を使用していない患者さん、あるいは、中止してしまっている患者さんと比較して、50%も喘息死の危険性が減少すると報告されました。そのようなことから、世界的に第一選択薬として位置づけられています。私の患者さん(数千例)からも、この薬で大きな問題が生じた患者さんはいませんし、むしろ重度の喘息が落ち着いて、生活レベルが格段に上がって、小児喘息完解状態になった患者さんを多数みてきました。


(2)抗アレルギ−剤(市場で数多く売られている製剤のうち、代表的なもの)

抗ロイコトリエン拮抗剤(オノン、キプレス、シングレア)

ロイコトリエンは、病態からヒスタミンより1000倍も強いアレルギー反応を起こすことが知られていき、その結果、従来の抗アレルギー剤(抗ヒスタミン剤)にかわって、新しく、1990年代から患者さんを対象に治験が行われました(ちなみに私も治験医に加わりました)。今までの抗アレルギー剤よりも即効性があり(約3日から7日)、吸入ステロイドと違う作用を持ち、相互で使うと吸入ステロイドの量も減らせるばかりか、気道の炎症を2倍、3倍と抑制します。また、副作用がなく安全性に優れていることが特徴です。今後、アレルギーマーチを防ぐ(アレルギーの予防)かどうかの研究が期待されています。

一方、従来の抗アレルギー剤(ザジテン、セルテクト、アレジオンなど)は抗ヒスタミン作用を持ち、掻痒がひどいアトピー性皮膚炎の患者さんや、鼻炎の患者さんに使うと効果があり、アレルギーマーチを防ぐことが確実にできることが実証されています。

吸入抗アレルギー剤

1960年に開発されたインタール(クロモリン)が有名です。この薬は粘膜における肥満細胞の安定化をはかり、化学物質などの遊離を抑えます。また、運動誘発性喘息なども抑制する、副作用が全く無い、良いお薬です。

当初はカプセル形式でむせることが多かったものですが、現在はエアロゾル、吸入製剤があります。欠点として高額であること、抗炎症作用がマイルドな点でしょう。

発作時使用薬(レリーバー)

テオフィリン製剤(テオドール、テオロングなど)は古くから使用されてきましたが、1978年頃から除法製剤が開発され、日中の血中濃度が維持できるようになり、服薬しやすくなってきています。近年では、少ない量で気管支の炎症を抑える効果が示されています。一方では、痙攣との関連も示されていますので、近年のガイドラインにおいては、乳幼児ぜんそくでの安易な使用は禁じられております。

気管支拡張剤(β刺激薬)

この薬も古くから使用され、短時間作用薬(ベネトリン、ブリカニールなど)と、長時間作用薬(メプチン、ホクナリン、セレベント)があります。(経口剤、吸入剤、貼付剤など)気管支平滑筋を広げて呼吸を楽にしたり、吸入ステロイドの効果を増強する作用もあります。

おわりに

近年アレルギー研究の進歩は著しく、お薬も副作用の少ない、非常に安全なものが多数開発されています。
症状が落ち着いてきたからといって、すぐに治療をやめてしまうのではなく、長期的に専門医のもとで治療を行えば、時間はかかりますが必ず良くなります。

ぜんそくガイドライン(治療方針)も、かなり進化してきています。そのため、必ずアレルギー専門医のもとで、より良い治療を受けるようにしてください。

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